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『神為る土地で』設定資料

『神為らぬ者』の声明

《全世界の老若男女の諸君、ご機嫌麗しゅう。我々はしがない科学者の集団だ。少々風変わりな研究が実を結んだゆえに、今回諸君らに体感していただこうという次第である。名称は敢えて与えていない。強いて言うのなら我々の崇敬の系譜であり、諸君らの憧憬の結晶だ。それを踏まえて、我々はこの技術をこれから恒久的に世界に提供しよう。人類全てに大いなる力を与えよう。
 我々は神には為れない――――だからこそ。諸君らを神格に。あるいは英雄に、祀り上げよう》

フレーバーテキスト

神為る土地で―起源観測―

この世界をザックリと理解するために作成された、各話500文字程度の文字群。
観測者については語り手にするなり主人公にするなり無視するなり、参加者の判断に委ねる。

基幹設定

単語

覚醒遺伝計画

正式名称は『Atavism Project(隔世遺伝計画)』。『覚醒遺伝計画』は日本人が用いる俗称である。この世界の誰もが知ってるシステムであり、この作品世界の根幹ともなるもの。『神為らぬ者ヘレティック』によって発足したもので、どういった手段でどのように付与させているか、一般的には解明されていないことになっている。

内容は、神格や英雄といった架空存在の逸話や伝承通りの権能が無作為に付与されるというもの。付与される条件として一般の研究機関があげているのは、『好戦的である』ことと『元から身体能力が高い』こと。しかしそれも定かではなく、事実として性格が穏やかな伝承者も確認されている。

声明があったのは12月24日の0時(協定世界時)。日本では9時に声明が発表された。最初の伝承者が発生したのは、その24時間後の12月25日0時。聖誕祭である。
声明には動画配信サービスやSNSが利用された。すでにあるアカウントを乗っ取っての声明だったため、最初は大規模なハッキング行為として報道されたが、翌日からの無作為発生によって本来の形で報道されるようになる。

APCの予測では、覚醒遺伝は起源者を起点としており、起源者を抹殺しない限り増加は止まらない。また、抹殺してもそれまでに生まれた伝承者が元に戻る可能性は低い。
全世界で無作為に発生し続けており、これによる騒乱や混乱は無数にある。

覚醒遺伝

英名はAbnormal Atavism。
『覚醒遺伝計画』によって伝承者に付与されるものの総称。ダブルエーとも言われる。医学ではAA疾患とも言われている。あらゆる学術が真相究明に乗り出している現象。後天的突然変異ではないかとも言われているが、真相はまだ誰もわかっていない。

伝承者サクセサー

覚醒遺伝計画によって生まれた、神格や英雄の能力や素養を覚醒遺伝した人々。複数人が同じ英雄や神格を基盤としていることが多いが、基本としてその神格や英雄の一側面から能力を得るため、必ずしも一致するわけではない。例を挙げると、雷神や戦神、農耕神といった側面を持つトールの伝承者が、それぞれの側面をバラバラに持っている、という具合である。

伝承者となった人々の反応は大きく2つに分かれ、自分の力に怯えて引きこもるか、自分の力に酔って暴れまわるか、である。
それ以外の行動として、周辺に恩恵を振りまいたり、信仰され直されて大人しくなるパターンがある。

ちなみに、神格や英雄の性別と伝承者の性別に関連性はない。

精霊

厳密に言えば、精霊の伝承を引き継いだ伝承者のこと。こちらは通常の伝承者と違い法則性が一部しか解明されておらず、また、明確な法則性も『伝承者によって生み出された損害を修復する』という一点のみである。
精霊であると判断された伝承者はAPCにリスト登録され、日常生活を続けながら管理される。
判別方法は、伝承者の戦場跡地に現れること。精霊として活動しているときは意識がなく、また当人たちの記憶にも残らない。

精霊は、伝承者によって発生した物的・人的損害を残らず修復することができる。しかし、彼らの許容量を大幅に超える破壊には通常より時間がかかってしまう。場合によっては、蘇りを否定する団体に死体の修復を妨害されて断念する例もある。ちなみに、妨害に関係なく伝承者の蘇生はしない。
彼らの修復は壊れたものが時間を巻き戻すように修復されるため、時間操作ができるのではないかと注目されている。裏では研究目的で誘拐されている精霊もいる。

ブラウニーなどになぞらえて精霊と呼称されているが、実際のところ精霊ではなく他の英雄や神格の伝承者か、そもそも伝承者ですらないのではないかと言われている。

組織

神為らぬ者ヘレティック

元々、どこの国家にも依らない最精鋭の多国籍科学者集団。世界救済を掲げ、医療改革や環境保全などの研究で人々を救おうとした組織である。志を高く持った優秀な科学者が多く集まり、知を結集して多様な研究成果を科学誌に発表していた。
日本のWeb上では、彼らの声明にあった『我々は神には為れない』というフレーズを基に『神為らぬ者』と呼ばれ、それ以外は国連が制定した『ヘレティック(異端者、異説者、異教徒という意)』という名前を使用している。

各地の有力者などから資金援助をしてもらいながら活動していたが、ある日忽然と姿を消す。そして数年経ったのちに『覚醒遺伝計画』を実行して再び姿をくらませた。
その後、世界全体を紛争状態にしたとして国際指名手配を受ける。
失踪する少し前から歴史書などの本来研究とは無関係な書籍を集め始め、失踪する直前まで人体研究をしていた疑惑がある。

『覚醒遺伝計画』の発足理由は不明だが、いくら救おうとしても人間は際限なく愚かで貪欲なことを悟って失望したためではないか、という説が有力。

APC

正式名称は、覚醒遺伝計画対策委員会(Atavism Project Committee)。国連安保理麾下の覚醒遺伝計画に関する対策委員会。

主な活動は伝承者の監視と精霊の管理、伝承者被害対策の考案、そして伝承者撲滅のための『神為らぬ者』や起源者の調査研究。現状として伝承者の強大な力を抑制する手段がないため事後処理をすることが多いが、水面下で伝承者撲滅に動いている。

重要人物

起源者センアンセスター

世界で一番最初に覚醒遺伝した人間、とされる。
APCが『神為らぬ者』について調査したときに発見された資料から推測された存在で、前述の人体研究から人間を改造するなどして生み出したのではないかと判断された。存在はAPC首脳部しか知らない極秘であり、誰かが意図的に漏らしたり首脳部に取り入って情報収集をしない限りは外部に露見しない。

性別や人種、人格や背格好、果ては何を伝承したかすべてが不明の原初の伝承者。
ただ、この伝承者の覚醒遺伝が『広範囲の人間に覚醒遺伝を付与するもの』だと断定されており、創世神や主神、あるいは死体化生神話を基盤とした覚醒遺伝を持つと推測されている。
APCが覚醒遺伝計画のファクターであり発生装置だと目する存在で、伝承者の発生マップをもとに追跡が試みられているが、覚醒遺伝付与のタイミングにバラつきがあるため、今のところ足取りは掴めていない。